【外国人労働者フォーラム「特定技能外国人の受入を考える」を開催しました】
12月13日(火)午後、参議院議員会館会議室にて外国人労働者フォーラム「特定技能外国人の受入を考える」を開催しました。会場では15名、オンラインで20名を超える方にご参加頂きました。
2018年12月の法改正で新設された特定技能制度。既存の技能実習制度と、何がどう違うのか。少子化・高齢化そして人口減少が進む日本で、外国人の受入はどうあるべきか。多くの方に関心を持って頂けるテーマで、講演とパネルディスカッションを企画しました。
外国人就労者の中でも大きなボリュームを占める建設分野の特定技能外国人受入を所轄する国土交通省の担当課長と受入機関の担当部長に加え、長年外国人の受け入れに携わってきた日中亜細亜教育医療文化交流機構理事の方をゲストに招き、技能実習及び特定技能制度の課題と今後の展望についてディスカッションを行いました。
はじめに国土交通省国際市場課長の川合紀子氏より「建設分野における外国人材の受入れについて」と題し、国の施策についてご説明頂き、続いて建設技能人材機構 (JAC)管理部長兼調査研究部長の渡瀬友博氏よりJACが進める取組みについてお話頂きました。さらに外国人受入れの現場をよく知る山田敬三氏から「建設業界独自の外国人労働者拡大施策」と題した現状報告と提案がありました。
後半のパネルディスカッションでは、登壇者3名にモデレーターとして建設経済研究所理事長・当フォーラム理事の佐々木基氏が加わり、今後の日本における外国人材をどう考えて、同時にどう進めていくのかということについてお話いただきました。
川合氏から「外国人材というのは、たまたま外国人であって、建設現場を支えていく上で、今や主役の一人という、共に建設現場を支えていく人材ということ」との考えが示され、渡瀬氏からは「人手不足という問題に対してストレートに手当をする仕組み、制度が出来たことに対する期待は非常に大きい」との指摘がなされました。山田氏は外国人を受け入れる側が留意すべきポイントとして「人なのでやはり、やる気になってもらうこと。モチベーションをいかに上げるか。」を挙げました。
かつては“出稼ぎ先”としてアジア諸国で人気の高かった日本も、最近では中東や韓国、シンガポールに遅れを取るように。外国人材から見て日本が魅力のある、働きたくなる国になるために必要なことについて議論しました。川合氏は「やはり相手に寄り添う、人間関係をきちんと作る。その地域として受け入れる、計画的に育成する。外国人も人であるという意識が大切」と回答。山田氏は「若い人材が本当に欲しいなら、教育から行う必要がある。受け入れの発想を変えることで、日本で働きたい方は増える。」と答えました。佐々木氏からも「一番の壁は言葉。そうした意味でも教育がすごく重要」と指摘があり、外国人材の教育について深堀して議論しました。
質疑応答では会場から「特定技能2号の拡充」について質問がありました。川合氏から「試験に受かることも必要だが、職長としてリーダーとしての経験を、計画的に何年も前から積んでいかなければいけない。職長教育の充実等を支援していくことが、行政としてできること」との回答がなされました。
最後に山田氏から「日本人はもっとグローバルな感覚を」、渡瀬氏から「外国人の同僚として一緒に働く日本人向けの研修も必要」そして川合氏から「送り出し国との良い関係を築き、日本が働きやすい魅力的な国として認識されることを目指したい」と一言ずつコメントを頂きました。大変中身の濃い、充実したフォーラムとなりました。ご登壇頂いた4名の方、ご参加頂いた皆様ありがとうございました。
今回取り上げた建設業ばかりでなく、福祉介護や農林水産業等の分野でも人手不足で外国人材の受入れ拡充が不可欠です。環境未来フォーラムでは、継続してこのテーマに取り組んで行きたいと考えています。