toggle
2024-03-19

水素社会シンポジウムを開催しました

2月22日に大阪市中央公会堂で「水素社会シンポジウム」を開催しました。

次世代クリーンエネルギーのひとつとして、水素が注目されています。脱炭素社会にむけた取り組みとして、 国内外で導入が進められつつあります。2050年カーボンニュートラル実現に向けた鍵を握るのが水素です。2月13日には「水素社会推進法案」が閣議決定されたばかり。良いタイミングでの開催となりました。

第一部:基調講演では京都大学大学院理学研究科教授の北川宏氏に「貴金属8元素合金がもたらす水素社会の可能性」と題してご講演頂きました。北川先生の業績は、普通は混ざらない貴金属をイオン化することで混ぜ合わせ新しい元素を生み出すというもの。水素を発生させる電気分解にその合金を触媒として使用すると、通常の単体の金属と比較してひとケタ以上効率が良いとのこと。「現代の錬金術師」と呼ばれる所以です。

北川先生のお話は専門的で難しい部分もありましたが、生み出した合金が高価なものであれば命を狙われていたかもしれないという話など時折混ぜるユーモアで参加者の皆さんの心をつかんでいました。とても素晴らしい業績を自分だけのものとせず、実験を担当した学生や後輩を立てる心優しい北川先生の人柄がにじみ出た素晴らしい講演でした。引用されたスティーブ・ジョブズの言葉“Stay Hungry, Stay Foolish.”は、世紀の新発見にまさしく不可欠な要素だと思います。

                  前田武志代表あいさつ
                     北川 宏 教授

後半はフォーラム会員企業の水素社会実現に向けた取組みとして、岩谷産業株式会社水素本部シニアマネージャーの井上恭豪氏、大阪ガス株式会社企画部カーボンニュートラル推進室長の桒原洋介氏にそれぞれ自社の最先端の技術をご紹介頂きました。岩谷産業からは創業以来力を入れている水素ビジネスや万博で運行する水素燃料電池船について、大阪ガスからは水素を利用したe-メタネーション等について報告して頂きました。

第二部:水素社会について考えるパネルディスカッションは、講演者3名にご登壇頂き、当フォーラムの植村公一理事(愛知県政策顧問、インデックスグループ代表)がモデレーターを務めました。 北川先生から企業における基礎研究の重要性を指摘。発表頂いた両社とも水素の分野で日本をリードする企業です。北川先生の優れた業績とあわせ、日本の水素社会実現を担う最前線の知見を共有し学んで頂けたかと思います。

また、常識にとらわれずに夢中になって取り組むことで世の中を変える発見や成果が得られるということを北川先生の研究に取り組む姿勢から学びました。

                  パネルディスカッション

今はまだ身近に感じられない水素ですが、近い将来に本格的な安定供給が実現すれば脱酸素社会に近づくことができるという希望を与えてもらえたシンポジウムでした。ご登壇・ご参加頂いた皆様、誠にありがとうございました。