toggle
2019-06-20

「まちづくり・住まいづくりフォーラム」に参加しました

6月10日(月)午後、国土交通省関東地方整備局主催の「まちづくり・住まいづくりフォーラム」が開催されました。竹歳誠・公益財団法人都市計画協会会長のお話を聞き、増田寛也氏(東京大学公共政策大学院 客員教授)の講演がありました。4つの自治体の市長によるリレートークを挟み、大月敏雄氏(東京大学教授)による講演「町の持続力を考える」という大変密度の高いフォーラムでした。以下に概要をご紹介します。

1.竹歳誠氏「都市計画法制定100 周年を迎えて」

都市計画協会会長の竹歳氏からは日本が21世紀にめざすべきこととして、住宅貧乏からの脱却とごちゃごちゃした街の整備が挙げられました。また、平成の大合併によりひとつの都市の中に複数の中心市街地ができたことから、コンパクトシティ+ネットワークという概念・政策が生まれたというお話を伺いました。

2.増田寛也氏「縮小時代における地域経営について」

増田氏からは、コンパクトシティに関して「規模の利益から密度の利益をどう実現するか」という課題の指摘がありました。また、2040年には一人暮らし世帯が半数を超えるという中、コミュニティ機能をどう維持していくかも課題として挙げられました。そして、民法改正による土地所有者の責務の明確化が必要との提言がありました。

3.管内首長によるリレートーク「人口減少・少子高齢時代におけるまちづくり」

埼玉県和光市の松本市長から、高齢化率16.9%と若い街だが、URの団地などモザイク状に高齢化率40%超のエリアもとの紹介がありました。団地建替え時に多様な間取りを導入し、若者世帯も呼び込む工夫をしています。広沢複合施設は児童センターを中心に再生し、温浴施設の導入などPFI事業で整備しました。

千葉県流山市の井崎市長は、市域の18%にあたる約640haの土地区画整理が進行中で、人口は2005年の152千人から2019年に192千人へ増加中との紹介がありました。子どものそばで働ける街づくりをめざしてサテライトオフィス等を誘致し、「母になるなら、流山市」というスローガンでブランディングを進めています。

群馬県館林市は一期3年目の須藤市長から、日本遺産「里沼」のある街、関東30沼のうち5つが市内にある肥沃な土地で、群馬のウクライナとの異名を取るとの紹介がありました。正田醤油、日清フーズなど食品関連の企業が多いのも特徴です。

神奈川県小田原市の加藤市長からは人口減少傾向にある中、早川駅周辺(小田原漁港)を小田原城エリアと双璧をなす集客拠点に育てる戦略の紹介がありました。立地適正化計画を策定し、多極ネットワーク型コンパクトシティをめざすとのことです。

4.大槻敏雄氏「町の持続力を考える」

家族の形や住まい方が大きく変わる中、これまでのような持ち家がゴールとは限らない新しい住宅双六が必要との興味深い提案がありました。地域内でライフステージにあわせ移り住めるハウジングチェーンの完備が地域包括ケアシステムとの連携にとって重要とのことでした。また、地域内の居場所を繋ぐデザインが大切との指摘がありました。

当フォーラムがテーマとする持続可能なまちづくり・住まいづくりに関連して、多くの示唆に富んだ中身の濃いシンポジウムでした。