3/8「災害対応とフェーズフリー」フォーラム開催
3月8日(火)に「災害対応とフェーズフリー」をテーマとしてオンラインで開催したフォーラムのレポートをお届けします。
ゲストスピーカー:菅野 拓 大阪市立大学大学院文学研究科・文学部地理学教室准教授
コメンテーター :前田 武志 一般社団法人環境未来フォーラム代表理事
コメンテーター :立野 大輔 一般社団法人西日本閉鎖性海域連携推進機構理事
コーディネーター:佐藤 唯行 一般社団法人フェーズフリー協会代表理事
菅野拓先生によると、社会的課題としての災害の特徴は、ある地域にたまにしか起きない問題であり、行政職員が対応に慣れていないことだそうです。医療・福祉や食料・生活用品・住環境等、平時に民間が関与しており、行政が慣れない財の供給で混乱が生じやすいと指摘されました。
また、現行の被災者支援と制度にはズレがあり、避難所の環境悪化や仮設住宅建設の遅さ等が原因による在宅被災者が生じたり、高い失業率が続いて被災困窮者が長期間存在してしまう実態にも触れました。被災者支援と社会保障制度が展開されているにもかかわらず、何故災害救助法は混乱した構成になっているのかを、歴史的な背景からも説明頂きました。
これらを踏まえた被災者生活再建支援における「災害ケースマネジメント」モデルを鳥取県で制度化された事例を交え、必要なのは「災害対応のマルチセクター化」と「社会保障のフェーズフリー化」であると話されました。
後半のディスカッションでは、コーディネーターの佐藤唯行氏から「フェーズフリーとは何か」を説明していただき、コメンテーターである立野大輔氏からは避難所へのトイレ設置の重要性が指摘されました。災害時の下水道機能の確保は喫緊の課題です。また前田武志代表理事からは東日本大震災後に現場を訪れた際の様子や、フェーズフリーという考え方は行政外のセクターがどう参加していくかを示してくれたのではないかと語られました。
また、坂本理事も阪神淡路大震災の折のトイレ問題に対する取組みや、現在の水構造システムにも触れ、常と非常時とセットで物事を考えて行く社会にするべきであるとされました。
開催後のアンケートでも高い評価をいただきました。
ご参加・ご回答いただいた皆様には重ねてお礼申し上げます。
菅野拓先生
前田武志代表理事
*菅野拓先生の新著『災害対応ガバナンス』には、フォーラムでお話頂いた内容が詳しく述べられています。
http://www.nakanishiya.co.jp/book/b570732.html
ぜひご一読ください。